新卒で大手IT企業に勤めたリケジョが3年目にして思うことー配属から実務の実態ー

2020年6月4日

そもそも「大手企業」とはどれほどのラインからそう枠組みされるのかという前提について認識した上で、新卒で大手IT系企業に勤めた私が3年たった今思うことを話したいと思います。

就活中の方、新入社員として会社に入ったばかりの方が、今後のキャリアプランを考える上で少しでも参考になるように書いていこうと思います。

そもそも「大手企業」とは?

大手企業には明確な定義はないため、中小企業基本法という法律が適応される中小企業の規模を超えた企業を大手企業とイメージしてもらいたいです。

中小企業基本法をもとに大手企業を定義づけるとするならば、基準として①資本金が3億円を超え、②従業員が300人を超える企業のことを示します。

今回私についてお話しするので、(詳しくはいえないためザックリと)勤め先の企業情報を説明すると、数万人規模のIT系企業ということを前提に読んでいただければと思います。

大手IT系企業勤めの配属について

まずは、新卒で入社後、長きにわたる研修期間が開始されます。その間に配属のための面談が何度かあり、その研修後に晴れて配属となります。

大手企業であれば、全国各地散り散りに希望の場所へ配属となることが基軸としてあるものの、やはり案件規模の大きさや案件数の多さからも多くの人は首都圏を中心に配属となりました。

この点に関しては、企業によって希望の配属地域(希望勤務地)の叶いやすさや、希望部署(業務内容)の叶いやすさが異なるため、就職活動期間や内定後に、きちんと人事の方に方針を確認しておいた方が良いでしょう。

大手IT系企業の業務におけるメリット

社内で複数のキャリアパスが選択可能

システムエンジニアのキャリアパスは様々ありますが、大きく分けると2つです。それはエンジニア(技術者)を続けるか、プロジェクトマネジメントなどの管理者となるかの2つに分けられています。

しかし、大手企業ではこの2種類の中でも特に前者のエンジニア(技術者)の役割の中で、細分化された様々な技術に携わる機会が多く与えられます。

インフラ、アプリケーション、ネットワークなど、中小企業ではどれか一つの技術を取り扱い、そのみちでスペシャリストを目指す流れが一般的です。しかし、大手企業は取り扱う案件の多様性から求められる技術も様々なため、自分の身につけたい技術にかかわる案件を社内で見つけ、希望するチャンスも多く得られるのです。

マネジメントスキルの向上

上記で説明した通り、取り扱う技術は多くあるものの、SI業務を主とする大手IT企業の社員の多くはプロジェクトマネジメントの道に進むこととなるはずです。なぜならば、大手IT企業は業界内の請負構造のピラミッド型のの中で頂点に位置することが多いからです。

どういうことかと言いますと、この構造の頂点に近い会社は、下請け企業のマネジメントが主な業務となることが多く、年次が若い時期から、マネジメントスキルを身につけることを求められます

実業務においても派遣社員や請負の業務管理など、マネジメント業務をする機会が多くあるため、将来的に管理側としてプロジェクトに参画したいと考えている方には良い環境と言えるでしょう。

案件数の多さや規模の大きさ

大手企業は、様々な案件を安定的に受注しやすい環境が長年のつながりや社会的信用からすでに用意されています。また、大手企業の規模でなければ実現できないシステム開発は優先的に受注の可能性が高まります。つまりは、国や自治体、大手企業からのいわゆる「大きなお仕事」が中心となることが多いのです。その分、責任も重いですが…

さらに、大手企業は資金力が高いため、最新技術の研究などにお金を費やしやすいのです。大学の時に、研究費を多く引っ張ってこれる学会や論文雑誌で評価される教授もいれば、大した成果を上げることができずにかつかつの研究費しかくばられない研究室がありましたよね?

それと一緒で、大手企業は社会の中で「大学で多く研究費用をもっている教授」のようなものなのです。

そうした教授はその資金を使って、また新たな研究ができ、成果につなげることができます。それと同様、大手企業は新たなサービスを続々と手掛けることが可能となり、そこがまた利益へとつながるのです。

技術者として社会に出た人間にとっては、新しいサービスの開発や案件の豊富さ・安定性はメリットの1つといえるでしょう。

大手IT系企業の業務におけるデメリット

社内ルールの多さ

大手企業は会社やグループ全体での決まり事が非常に多いです。私が勤める会社でもそれを大いに感じるのですが、同規模の同業他社へ入社した大学の同期も同じようなことを言っていました。これは、中小企業に従事している友人に話しても同意されない内容のひとつです。

互いが各部署の範囲の仕事をこえて行わないように仕事を進めたり、暗黙の了解で踏み込んではいけない範囲が各部署おのおのもっている状態があるため、業務内容以外の部分に神経を使うことも多々あります。

「暗黙の了解で踏み込んではいけない範囲」といっても、自社と言えど、いち社員が何万人規模の会社の中のどこでどのような仕事を行っているかを把握するのは到底無理な話です。

そのため、「ほかにこのシステムにかかわっている部署ないよね?」という確認作業に時間を要することもたびたびです。

多くは新規顧客というより既存の顧客による継続案件が多いですが、新規の案件が入った際には特に他部署に影響範囲がないかという点について、事前に自分の組織内確認し、影響が出そうな部署には上司を介して事前に他部署と調整を行う必要があるのです。

このような面倒なしがらみや、暗黙の了解のお決まりに加え、業務内容開始までに時間を要する要素が多いことがデメリットと言えるでしょう。

会社の待遇について

福利厚生の充実性は活用しただけ得をする

・自社株購入
・教育制度の充実
・休暇の多さ
・休暇取得率の高さ

福利厚生のなかで最も充実だと感じるのはこの4点だと思います。特に、教育や資格受験に関しては、基本的に申請をすれば会社が全額負担してくれる場合が多く、スキルを伸ばしたい人にはかなり魅力となるはずです。

あと、休暇に関しても、新入社員として入社した段階から有給休暇が30日程付与されており、毎年、割ときっちり使っています。笑 もちろん、次年度への繰越も可能となります。

有給休暇に加え、土日祝日以外にも会社が指定した日が休みと設定されていたり、結婚や引っ越し等、何かにつけ休暇が付与されるようになっています。これは本当にありがたいことだと思います。

また、賃貸の場合の家賃補助や住宅購入の際の優遇など、会社によってかなり違ってくるため、この点に関しても確認しておいた方が良いでしょう。私は内定した段階で、給与や賞与のことの次にこの点を確認しました。笑

【私の感想】社会人3年目にして思うこと

会社規模が大きければよい。というわけではないですが、業務が忙しくなってくる2、3年目に心の支えとなるのは、給与や福利厚生の満足度でした。この点は、やはり会社の規模ありきのことだと思います。

正直、仕事の内容自体は楽ではないです。様々な選択ができる環境の分、多くのことを学ばなければならないですし、技術力がついていかない状況でプロジェクトの管理を任されることもあります。仕事は多くあるので、同時期にいくつものプロジェクトに様々な立場で参画し、てんやわんやなることも多々ありました。

また、会社の名が知れている以上、いくら社内で手厚く研修サポートを受けている身でもお客様には〇〇会社の社員として、一人前にふるまわなければいけません。数カ月の研修期間を経て、配属後、お客様と打ち合わせをした際に、そのことをとても実感しました。

もちろんはじめのうちは上司や同僚とお客様先に向かうのですが、システムの内容理解ができるころには自分が筆頭になって派遣社員等を同行させ、お客様先へ出向くことが出てきます。そんな際に、大企業のお偉いさん(お客様)の質問にこたえられないなど、あってはならないことですので、かなりのプレッシャーがありました。

※たいがいはこちらの企業的な面目もあるので、お客様先が上層部の方をそろえてきた場合には、こちらもそれなりの役職の技術者やPM(プロジェクトマネージャー)を連れて行くのですが、上司の忙しさによっては若手が筆頭に立ってこなさなければならないこともあります。

というように、日々気の抜けない状況であることに間違いはなく、心を病んで休職に入ってします方もいるくらいです。

大手IT系企業は福利厚生ややりがいに関しては、文句なしの「◎」と言えるので、今まで述べてきたようなデメリットに耐えうる方には向いていると思います。結局は、「自分がどのように働いていきたいか」、また「その仕事に対して納得した対価(給与面だけでなく)を得られているか」が重要だと思います。

そこの天秤のバランスが崩れたときに私は会社をやめるのだろうなぁ。と思っています。

いかがでしたでしょうか? 就職活動中の方や転職活動を検討している方にとって少しでも参考になったら幸いです。